はじめに
資金繰りが苦しいとき、経営者が最初に考えるのは、追加融資や借換かもしれません。もちろん、足元の支払いを守るためには、金融機関への相談が必要な場面があります。
しかし、ここで大切な視点があります。
借入は資金を増やすが、利益を増やすわけではない
借入は一時的に資金繰りを助けてくれます。
しかし、本業で現金を生み出す力が弱いままでは、借りたお金は支払いに消えていきます。
そして、また数か月後に資金繰りが苦しくなります。
金融機関も「返せる根拠」を見ている
2026年1月〜3月期のトラック運送業界の景況感は悪化し、2026年4月〜6月期の見通しもさらに厳しい内容となっています。燃料調達不安や燃料価格高騰への懸念が示されており、金融機関も業界全体の収益環境を慎重に見ています。
このような環境では、追加融資を相談するときに、
「資金が足りません」
だけでは説得力が弱くなります。
金融機関が見ているのは、
「この会社は、これから返済原資を作れるのか」
という点です。
返済原資は売上ではなく粗利益から生まれる
返済原資は、売上ではありません。
返済原資は、粗利益から生まれます。
売上が増えても、燃料費、人件費、傭車費、修繕費が増えれば、資金は残りません。
利益率が低いまま売上を増やすと、必要運転資金が増え、かえって資金繰りが苦しくなることもあります。
だからこそ、まず考えるべきことは、
「売上を増やす」
ではなく、
「利益が残る売上に変える」
ことです。つまり、粗利益は運送会社の資金繰りの源なのです。
粗利益率1%改善の効果
たとえば、月商3000万円の会社で粗利益率が1%改善すれば、月30万円の改善です。
年間では360万円です。
2%改善すれば、年間720万円の改善になります。
これは、追加融資を受けることと同じくらい、場合によってはそれ以上に資金繰りへ効果があります。
しかも、粗利益改善で生まれたお金は返済不要です。
本業の中から生み出した資金だからです。
借入は返す必要がありますが、粗利益改善で生まれた資金は、会社の中に残ります。
売上拡大が資金繰りを悪化させることもある
利益率が低いまま売上を増やすと、かえって資金繰りが悪化することがあります。
売上が増えれば、燃料費、人件費、外注費、傭車費も増えます。
入金までの期間が長ければ、運転資金もさらに必要になります。
だからこそ、まず考えるべきことは、
「売上を増やす」ではなく、
「利益が残る売上に変える」ことです。
金融機関が見ているのは返済原資
金融機関は、過去の赤字だけを見ているわけではありません。
これから返済原資を作れる会社かどうかを見ています。
そのためには、
・粗利益率がなぜ下がったのか
・どの荷主・車両・コースを改善するのか
・運賃改定交渉はどのように行うのか
・待機時間・空車回送の削減策はどするのか
・月いくら資金繰りが改善する見込みなのか
を説明する必要があります。
資金繰り表と粗利益改善計画をセットにする
金融機関に相談するときは、資金繰り表だけでは不十分です。
粗利益改善計画だけでも、足元の資金不足は見えません。
大切なのは、両方をセットで見せることです。
資金繰り表で、いつ資金が不足するかを示す。
粗利益改善計画で、どう改善して返済原資を作るかを示す。
この形にすると、金融機関への説明に説得力が出ます。
まとめ
借りる前に、返せる体質を作る
資金繰りが苦しいとき、借入やリスケは重要な選択肢です。
しかし、目的は単なる延命ではありません
資金繰りが苦しいとき、借入やリスケは重要な選択肢です。
しかし、目的は単なる延命ではありません。
返済猶予期間や追加資金を使って、利益体質へ変えることが本当の目的です。
中小企業診断士の松下卓蔵は、これまで約1000社の運送会社の経営改善を支援してきました。
運送会社に特化して、荷主別・車両別の採算整理、運賃交渉資料、金融機関向け改善計画の作成を支援しています。 粗利益改善と資金繰り改善でお悩みの方は、ぜひご相談ください。